未来の水上都市として期待の高まる人工の浮島、フローティングアイランドについてご紹介します。 テクノロジーの進化により、自動運転やスマートシティーなどの発展が期待されています。 そんな中、未来都市としてフローティングアイランドが実現可能となる未来の期待が高まります。 海に浮かぶ都市として、実際にどんなものがあり、どんな構想があるのか調べてみました。

サスティナブル|知っておきたい社会の課題

今、私たちの社会では、地球温暖化、環境汚染、人口増加、領土や資源などの奪い合い、紛争、貧困や格差社会、災害など様々な国際問題が数多くあります。

そんな中、国連は2015年にSDGs : Sustainable Development Goalsとして持続可能な開発目標を掲げています。

最近話題となっているサステナブル・サステナビリティ(環境を破壊せず持続できること)などを意識して、様々な企業や人々の間でも持続可能な社会を目指している動きも増えています。一人一人の意識改革が重要な鍵となっています。

人々が環境に優しく安全かつ平和に暮らせる街作りについても、テクノロジーなどの新技術を活用して最適化したスマートシティーなどの計画も進んでいます。

環境汚染や災害など様々な問題を気にせずに、過不足なく平和に暮らせるユートピアな世界が作られていくかもしれません。

これから未来の水上都市として発展の期待が高まっているフローティングアイランド・浮島について調べました。

もし近い将来、地球温暖化などの影響により海面が上昇した場合でも、海に浮かぶ都市が解決の鍵となる可能性があります。

人工のフローティングアイランド

ドバイにあるパームジュメイラや日本の神戸にあるポートアイランドをはじめとする、人工的に作られた埋立の島は、すでに世界に複数あります。

埋め立ててできた埋立地とは異なった、海に浮かぶ人工の島の事を人工浮島といいます。浮体式の巨大な人工島となる構造物のことをメガフロートとも呼びます。

国際連合条約の国際海洋法において、島の定義は、自然に形成された陸地のみを指し、人工に作られた島は領土としては認められていません。

公海においては、国際法によって認められる限りにおいて、すべての国が人工島を建設する権利を持っているとされます。

つまり、人工島は作れても領土としては認められないということを留意しておく必要があります。

政府の管理する領土の外に作られる海上住居の事をSeasteading(シースタンディング)と呼びます。sea(海)とhomestanding(時給持続のライフスタイル)の俗語からできています。この未来都市としてシースタンディングの開発がいくつかの企業によって計画されているので、将来への期待が高まります。

これまで作られた人工の浮島や、計画されているフローティングアイランドの未来都市について見ていきましょう。

現在実在する人工浮島

Sebitseom / セビッソム(韓国)

出典:koreaherald, flick

韓国の漢江(ハンガン)盤浦大橋の横に浮かぶ3つの人工島セビッソムは2006年に作られ、2014年にリニューアルオープンされました。映画「アベンジャーズ:エイジオブウルトロン」(2015年)のロケ地としても知られています。

参考:http://www.somesevit.com/en/index.do

住所:SEBITSEOM Seoul Floating Island

   韓国 Seoul, Seocho-gu, Banpo 2(i)-dong, 650−1 -dong,

フローティングポット「動くホテル」(長崎・ハウステンボス)

出典:https://onsennews.com/news180511_floating_hotel_huistenbosch/

ポッド型の海に浮かぶ、移動式水上ホテルが開発されています。H.I.Sの提供する無人島の探索ツアーへの参加者が宿泊できるようになるとされていました。実証実験が行われ、ホテル営業は未実施ですが、別の運用方法について検討中です。

<ハウステンボス>

公式サイト:https://www.huistenbosch.co.jp

過去に作られた人工浮島

アクアポリス(沖縄)

出典:
国土地理院の空中写真(1977年)
https://mapps.gsi.go.jp/maplibSearch.do?specificationId=1095014
沖縄タイムス
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/414816

1975年の沖縄国際海洋博覧会にて手塚治虫氏のプロデュースにより日本政府が出展した100 m四方でできた海上都市です。半潜水型浮遊式海洋構造物となります。

博覧会後も、リニューアルを行いアニメの上映やレストランなど開設していましたが、来館者低下により維持が厳しくなり、1993年に閉館し、2000年に解体のために上海へ曳航されています。

人工浮島の未来都市の構想・シースタンディング12選

1. Blueseed

アメリカのカリフォルニア州シリコンバレーのスタートアップで、就労ビザがなくても外国人を雇用できるITベンチャー企業向けの人工島を公海に作る計画があります。

https://blueseed.com/

2. The Seasteading institute

PayPalの創業者のピーター・ティール(Peter Thiel)氏と政治経済学者家のパトリ・フリードマン(Patri Friedman)氏によって設立されました。海に浮かぶ自治都市の開発をしています。

https://www.seasteading.org/

3. Blue Frontiers

環境を保護した持続可能な浮島の建設を目指しています。Seasteading Instituteの協力により、フランス領ポリネシア海域にシーステッドの開発と設置を進めています。また、Varyon(VAR)という仮想通貨の開発もしています。

参考:https://www.blue-frontiers.com/ja/

4. オルソス島

オーストラリアの企業が計画した大富豪向けの人工浮島です。エンジンはついていないですが、船のような形をした12人の滞在が可能な住居スペースです。

参考:https://www.afpbb.com/articles/-/2886288

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5. Lilypad

出典:inhabitat.com/lilypad-floating-cities-in-the-age-of-global-warming/

Vincent Callebautによってデザインされたリリーパッドは海に浮かぶ環境都市を目指しています。将来の気候変動難民のための避難所を想定しており、完全に自給自足の浮遊都市をコンセプトとしています。

参考:vincent.callebaut.org

6. A Post Diluvian Future

出典:http://spluspba.weebly.com/a-post-diluvian-future.html

洪水などの災害を想定した現代​​的で持続可能な水上都市が提案されています。

タイの国家災害警報センターの責任者である気象学者スミスダルマサロジャ氏によると、2030年までにバンコクの大部分は1.5メートル(5フィート)の海水に沈むと予想しています。バンコクに本拠を置く建築会社S + PBAによって提案された水上都市プロジェクトです。

参考:https://www.arch2o.com/wetropolis-spba/

7. Recycled Island

出典:https://archpaper.com/2014/07/dutch-architects-propose-floating-island-made-of-recycled-plastic/

オランダの建築家が提案した、プラスチック廃棄物の転用で作られるリサイクルの島です。

8. Noah’s Ark

出典:evoloのNoah’s Ark
http://www.evolo.us/noah%E2%80%99s-ark-sustainable-city/

2012スカイスクレイパーコンペティションで特別賞を得たノアの箱舟です。セルビアのアレクサンダーヨクシモビッチ、エレナニコリックによってデザインされました。

9. blue21

出典:https://www.blue21.nl/

人口の増加問題を解決すべく、水上未来都市への移住を2050年までに実現したいと計画中です。洪水や異常気象からの影響も軽減させ、地球環境に配慮した持続可能なエコシステムを目指しています。

参考: https://www.pavingthewaves.org/

10. 環境アイランド GREEN FLOAT(清水建設)

出典:https://www.shimz.co.jp/topics/dream/content03/dream01.html

2010年に清水建設は赤道域の赤道地域に環境に優しい浮島都市、グリーンフロートの建設に関する計画を発表しています。グリーンフロートでは、自給自足し廃棄物もリサイクルし、より自然と調和した持続可能な人々の暮らしの実現を理想としています。台風の影響が少ない場所で2025年の完成を目指してプロジェクトを進めています。

11. ガラス製の浮かぶホテル(ノルウェー)

出典:https://wired.jp/2014/08/10/krystall-floating-snowflake-hotel/

ノルウェーの北部に、オーロラを眺められる海に浮かんだガラス製のホテルが建設される計画があります。とても幻想的なホテルです。

12. グリーンスター

出典:http://www.dutchdocklands.com/Development/Maldives

ダッチドックランドが提案した星型の浮かぶ大型ホテルです。

未来都市浮島の理想と課題について考察

理想

自然災害の影響を避ける

地震、津波、噴火、気象、海面上昇など、地上で起こる様々な災害を逃れることが期待できます。人工の浮島なので揺れることもなければ、噴火もありません。海面が上昇しても浮いているので、沈みさえしなければ逃れられます。台風なども予測して、移動すれば避けることもできるでしょう。

自然のクリーンエネルギー、自給自足できるシステム

新たなテクノロジーを駆使して、自然フレンドリーな環境で暮らしていけるシステムを目指していけます。太陽光、風力、水力など自然エネルギーを中心とし、ゴミなども出さないよう、自然に帰る素材を積極的に使い自給自足で継続的なシステムを期待します。

奪い合いがなくなる

限られた資源の中で、みんなで分け合って所有するというシェアの概念が普及すれば、所有権争いなどしなくて良くなるかもしれません。みんなが互いを認め合い、助け合いの気持ちを持っていれば、独占などによる不平等が減るかもしれません。

国の概念がなくなる

完全に長期滞在となり住居を浮島に移す場合、出身国から住民票を抜くなど手続きが必要となります。また、結婚や出産など、戸籍や国籍の概念が複雑化するかもしれません。生まれた子供の国籍の取得に関して、『出生地主義』と『血統主義』などありますが、いずれその概念すらも必要なくなる日がくるかもしれません。

タックスヘイブン・自由貿易など

自由貿易ができるようになれば、経済的にも発展することが見込まれます。また、タックスヘイブンなどの投資が可能となり、余剰資金などが生まれたら、その分を医療や教育などの支援を充足させることができるかもしれません。

考えられる課題

法律や国籍、ビザなど

もし、海上の街が公海などに拡大し、国の管理外となる場合、国際法の見直しや、あらゆる犯罪を想定したルールや防衛の仕組みを作っておく必要があります。人工島は領土して認められませんが、もし独立国家となった場合、その島に長期間住む場合、島の中でも経済活動を行う場合、税金や支援体制など、あらゆる方面の整備が求められます。

領土問題

新たにレジデンスなどが街に増えた場合、土地ではないですが、エリアを独占する動きが生まれるかもしれません。不動産売買などが始まると、権利争いの種となります。個人で所有権など持たせず、全体で共有するものとなっていれば、互いに譲り合って使用できるかもしれません。

通貨、決済、銀行、経済

キャッシュレス化したID決済などにより、通貨の概念がなくなることが予想されます。いずれは全世界で共通通貨として利用されるようになった場合、為替などもなくなる可能性があります。また、IDで決済できるようになると、銀行もなくなります。信用スコアや、レビューなどによるポイントを稼ぎポイントで支払いも可能となります。現状、様々なサービスが混在しており、一つにすることは困難ではあると考えますし、独占となると競争力がなくなるため、経済発展するには、混在する体制はすぐには変わらないと想定します。多少の規制などはあるかもしれません。

感染症、医療機関

集団生活となると、人から人へ感染するような感染症を常に気をつけなければなりません。また、新種の病気などに備え、医療機関に関しては十分に医療機器が充足され常にアップデートする必要があります。

人々の病状を常に管理する必要があり、プライバシーの保護がどの程度できるか課題があります。反対に、管理体制を整えることで、事前に病気になりそうな行動を察知し、早期に知らせて改善を促すことができるメリットもあります。人々の健康を個人だけでなく街全体で管理するという方法です。

オンライン診療が可能となり、様々な国で医療を受けられるようになった場合、医療機関の費用負担についても、考えていく必要があります。

犯罪抑制するため、ID管理する必要性

プライバシーの公開範囲が狭まり、全て管理されなければならなくなります。そのおかげで安全は守られますが、常に緊張感を持たなければならないので、ストレスとなることもあります。

海洋生態系の変化

一部の海上エリアを長期間浮島が占拠することで海底部の生態系に影響を及ぼす可能性があります。海への太陽光を遮断したり、船や航空などによる騒音や漁などの影響で、海洋生物の生態系のバランスが崩れかねません。影響を抑えるため、定期的に定住エリアを移動する必要もあると考えます。

まとめ

未来の海上都市として期待が膨らむ人工浮島ですが、移住するとなると、まだ様々な課題がありそうです。現在の暮らしの中でも、エコロジーを心がけ、助け合いの輪を広げ、みんな一丸となってユートピアな世界を実現しましょう。

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